2022年1月6日付

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食料の買い出しは骨が折れる。まずは値段に色形、産地を確かめたら原材料をみる。類似の品が並んでいればそれらをとくと比べる。ひと品ごとに足が止まるから時間がかかってしまう▼ただ、こうして商品を選んでいるうちに生産者のこだわりや店舗の個性が見えてきた。徹底した価格勝負、地産地消、合成の添加物を極力使わない健康志向―など注力するポイントはさまざまで、生産者や仕入れ担当者の苦労もうかがえる▼品質に加えて、生産、製造に携わる人の暮らしにまで配慮した品にこだわる店もある。諏訪市内の商店主、長瀬潔さんは「世界には今も子どもの奴隷労働があり、世界の需要に応えるために森林が破壊されている」と胸を痛める▼衣料雑貨と寝具が主の創業百年超の老舗で、20年ほど前、開発途上国の人々の自立を支援する「フェアトレード」品を扱い始めた。長瀬さんには作り手個々の顔が見えていて、「農園主のおじいさんが赤く熟した実だけを一粒ずつ摘んだコーヒー豆」「このチョコは乳化剤を使わずに三日間練り続けて作られます」と説明に熱がこもる▼彼らの思いや苦労まで伝えるのが商売人の使命―との意気だろう。「買い物をする時、その品がどう作られるのか、や社会的な背景、仕組みにも目を向けてほしい」との言葉に、消費者にも単にお金を払うだけではない役割があるのだとバトンを渡された思いでいる。

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