2022年1月19日付

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「やっと届いたんだよ」。あぐりライフ信州諏訪の熊谷洋さんが、卓上に並べたリンゴジュースをニコニコ顔で披露する。隣では集荷から加工までまとめたJA信州諏訪の名取鉄也さんがホッとした表情だ▼地元の農産物で初の独自商品を―という農協を挙げた”命題”を3年がかりで昨年完成させた。もとよりこの地域の「ふじ」リンゴは農家直売が多く、店頭ではほぼお目にかかれない。その上、農家が搾ったジュースは知る人ぞ知る忘れ難いおいしさで、それを再現した商品はすぐに完売した▼買いそびれた客の一年越しの期待を背負って迎えた今季だが、産地では開花期の霜害、結実期の多雨で収量が落ちたり、玉が伸びなかったりして泣かされた。「やっとかき集めた」リンゴのジュースを試飲した二人は「ああ、おいしい!」と破顔一笑した▼自然を相手にした業の大変さは言うべくもあらず、何十年と経験を重ねても毎回「読み通りにいかない」と従事する人たちは口をそろえる。予想のつかない気候変化の中、命の柱となる食を支え続けてくれる労に頭が下がる▼南太平洋トンガ諸島で起きた大噴火に諏訪の果樹農家、矢島博臣さん(84)は「影響が心配」と漏らす。火山周辺住民の安否が心配でならない。そして1991年のフィリピン・ピナツボ火山噴火の後、記録的な冷夏で緊急輸入した「外米」を口にした時の心細さが思い起こされる。

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