家族と作る”季節” がん患う男性飾りを製作

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今年1月の飾り(手前)と昨年のクリスマスの飾り。家族4人が協力して手作りしている

がんを患い、諏訪地方の病院で治療を受けている上伊那地方の男性(80)が、妻と2人の娘と協力して季節ごとの飾りを作っている。幅約40センチ、奥行き25~26センチの空間に、季節の行事や雰囲気を巧みに表現。4人それぞれがさまざまな素材でこしらえた飾りをまとめて飾り付け、一つの作品に仕上げる。手術を受けて2カ月間ほど入院した翌年の2019年9月から毎月作り続け、生きがいの一つになっている。

■行事や光景を4人で一つに

職人として長くものづくりに携わってきた男性の技術を生かし、手作りすることが好きな家族みんなで取り組めたら-と作り始めた。手芸の講師も務める次女が各月の飾りの全体像を思い描き、3人に作ってほしい一つ一つの飾りを提案。4人が分担して工夫しながら制作する。木材やクラフトテープ、折り紙、ドライフラワー、ビーズ、毛糸などあらゆる素材を利用。どの作品も男性が木材を使って作る飾りをメインにしている。

ハロウィーンの飾りはカボチャ農園風。男性が桜の木で作った古風なトラックに、妻がクラフトテープで作ったかわいらしいカボチャを幾つも飾った。トラックは車輪が動く精巧さだ。

6月は猫が窓の外のアジサイを眺めている光景で、しわを寄せたラップを垂らして雨を描写するなど、梅雨の季節感が一目で味わえる。今年の1月は、富士山をイメージして木の板を組み合わせた飾りを中心に、門松や羽子板、こまなどを並べた。

■コミュニケーション深める

それぞれ家庭を持って離れて暮らす娘2人とは、各自が制作を進めている飾りを郵送で毎月3~4回やり取りし、イメージに合うようにアドバイスし合いながら手を加えて完成させる。コロナ禍の中で娘たちの帰省はままならないが、毎日ビデオ通話で顔を見せ合い、日々の様子や飾りのことを話していて、家族のコミュニケーションを深める役割を果たしてもいるという。

毎月作るのは一つではなく、3~4セットを用意。自宅のほか、長女の勤務先などに展示している。飾りを見た人からは「すてき」と感心する声が聞かれるという。7セット制作した月もあった。

男性は「毎日毎日やることがあって、この年になって自分の好きなことに没頭して、頭を使って考えたり、手を動かしたりできてすごく楽しい」と話す。長女は「親孝行をしていると思っている」と、病気のことを忘れるぐらい夢中で取り組む父親の姿を喜んでいる。

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