2022年1月25日付

LINEで送る
Pocket

芸能や娯楽が発展した江戸時代の楽しみとして庶民の間に定着した相撲。そこに悲劇が襲う。寛政7年1月、天下無敵を誇った谷風が流感によって死去する。江戸の人々は深く悲しみ、この流感を「タニカゼ」と呼んで恐れたという▼沈んだ空気の中、一人の力士が頭角を現わす。信濃国小県郡大石村(現・東御市)出身の雷電為右衛門である。「相撲が楽しくなる本」(梧桐書院、もりたなるお監修)によると、雷電の積極果敢な相撲はたちまち人気を集め、当時、最高位だった大関に昇進する▼郷土の関取の活躍が、伝説の大力士に再び光を当てた。木曽郡上松町出身の関脇・御嶽海が、23日に東京・両国国技館で行われた大相撲初場所の千秋楽で一人横綱・照ノ富士を破って3度目の賜杯を手にした。好調の今場所を象徴する力強い取組で場内を沸かせた▼夢の大関昇進もぐっとたぐり寄せた。日本相撲協会審判部はこの日、御嶽海の大関昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し、受諾された。新大関誕生となれば、長野県の出身力士としては雷電以来、なんと227年ぶりの快挙だという▼「タニカゼ」ではないが、新型コロナウイルス感染症に苦しめられ心も沈みがちな時世である。県民にとって御嶽海関の活躍はファンならずとも大きな励みになろう。歴史上の偉人に続く人よ。今後の土俵人生が一層輝きを増すといい。

おすすめ情報

PAGE TOP