2022年1月26日付

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冬季結氷した諏訪湖を見ると、御神渡り(御渡り)の取材の記憶とともによみがえってくる光景がある。伝統漁法の「たけたか漁」だ。厚い氷の下にカーテン状に仕掛けた網で回遊するコイやフナを狙う。脂が乗った寒ゴイが水揚げされた▼駆け出し記者のころ、湖畔に住んでいた漁師の森山儀雄さん(故人)が誘ってくれ、安全な場所から撮影させてくれた。いわゆる刺し網だが、小魚を捕る刺し網を「きよめ」、大物用を「たけたか」と呼んだ。網の丈が高いから丈高。結氷期でも漁が行われた▼自分が生まれる前には諏訪湖独自の漁法「やつか漁」があった。結氷前に数百個の石を湖底に沈めて「塚」を作り、結氷後に竹簀を下ろして石の間で冬ごもりする魚を引き揚げる。独特の計測法で氷上から塚の位置を掴んでいたというから驚きである▼手間と労力は相当だが、冬の貴重なたんぱく源でもある川魚を得るのに最も適した漁法だったのだろう。最盛期には下諏訪町高木沖だけで1200個ができ、石が見えないほど魚が群がったという▼根っからの魚好きで、氷上のたけたか漁を守り続けてきた森山さん。当時73歳。以前のような厚い氷が張らなくなったとして、無念さをにじませながら氷上漁法からの引退を示唆したことを思い出す。今冬の氷は十分な厚みに達したと言えず、厚さや強さにはムラがある。湖岸から湖面の変化を見守っていきたい。

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