2022年2月9日付

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2月12日は登山家で冒険家の植村直己さんの誕生日。自身2回目となる北米最高峰マッキンリー(現・デナリ)の単独登頂に成功した日でもある。その下山途中に消息不明になり、38年が過ぎた。今年は生誕81年。植村さんはエベレストを含めた世界初の5大陸最高峰登頂、北極圏の単独犬ぞり旅などを成し遂げた人だ▼もう何冊になるだろうか。植村さんの著書「青春を山に賭けて」(文春文庫)を書店で見ると購入し、海外の旅を夢見る人や山好きの若い人に出会うと進呈してきた▼本には植村さんが23歳で渡米した後、30歳まで世界各地で体験した登山と冒険が生き生きとつづられている。幼い頃から勉強も運動も不得意で劣等感の塊だった私自身が、10代後半に読書し、その後、日本列島徒歩縦断や自転車での欧米走破、アフリカ・キリマンジャロ登山、難民キャンプ取材のきっかけになり、自信を与えてくれた1冊だ▼植村さん本人に会ったことはない。だが植村さんの本を読むと、人を思いやる気持ちは、苦難を突破する力になるとうかがい知ることができる。若い頃は生きる指針にしていた▼植村さんが消息不明となった3年後、兵庫県の実家を訪ね、親族に会って直己さんへの感謝を伝え、墓参りをした。その縁で、後に植村さんの妻公子さんとも出会えた。公子さんはラーメンをごちそうしてくれながら言った。「冒険はほどほどにね」と。

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