伊那市通り町商店街 「看板建築」後世に

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「さかや正藤」に使われていた戸袋を囲み、看板建築について語る小平さん(中)と捧館長=伊那市創造館

伊那市の通り町商店街で、昭和のレトロな雰囲気を残す建築洋式「看板建築」が姿を消してゆく-。ニシザワデパートを中心とする一帯の再開発事業に伴い、伊那市創造館が、酒店「さかや正藤(まさとう)」に使われていた銅板張りの壁面を一部切り取り、修復と保存を進めている。街並みの歴史に詳しい自営業の小平和夫さん(68)=同市荒井=が取り壊しを惜しみ、提案。「県内に残る銅板の看板建築はわずかで貴重」としている。

看板建築は、関東大震災後の復興とともに誕生した装飾のある店舗兼住宅。木造2階建てが多く、建物の正面を垂直にして銅板やモルタル、タイルなどを張り、西洋風のデザインを取り入れている。

小平さんによると、通り町商店街は1949年に大火に見舞われ、各店舗が装飾と防火を兼ねた看板建築に建て替えた。当時の外観を保つのは10軒余。「吉田理容館」もその一つで、黒色のタイル張りが今も美しい。さかや正藤の旧店舗は50年に建てられ、緑青色の銅板張りが目を引いていた。

保存するのは、2階にあった雨戸を収納する「戸袋」2点。各縦175センチ、横101センチ、奥行き17センチで、実際に収納はできない形状のため、装飾とみられる。前面に張られた銅板には亀甲、青海波(せいがいは)、麻の葉など精緻な意匠が施されている。

小平さんと捧剛太館長(62)が昨年11月、建物からの切り離しに成功した。「戦前から戦後にかけての街並みのデザインを語る上で、重要な建築物」と小平さん。「職人の技を受け継ぐ細工が見られ、一部でも後世に残したい」と力を込める。

市創造館は汚れを取り除いて修復し、来年秋の企画展で公開する計画だ。捧館長は「アーケードで隠れていた所もあらわになった。多くの人に見てもらい、商店街の歴史に思いをはせてほしい」としている。

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