八島湿原防護柵「効果は確実」 ニホンジカ食害対策報告会

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美しい環境づくり諏訪地域推進会議と霧ケ峰自然環境保全協議会は3日、「ニホンジカ食害対策報告会」を県諏訪合同庁舎で開いた。信州大学農学部の泉山茂之教授が、外周4キロを防護柵で囲む国天然記念物・八島ケ原湿原(下諏訪町、諏訪市)について、今年度に湿原内へ侵入したシカは1頭だったと報告。「柵の完成から4年が経過し、効果は確実なものになってきた」と強調し、柵の点検作業を徹底して効果を持続させていく必要性を説いた。

防護柵は高さ2メートルで2010年度に半周が、11年度に全周が完成した。泉山教授は一部個体にGPS発信器を付けたり、柵周辺に置いた自動撮影カメラでシカの行動変化や侵入状況を調べている。

泉山教授によると、全周完成後に、高さが不足していた場所などから侵入したシカは計9頭。「当初は無理して柵を跳び越えようとする個体もいたが、年を追うごとにその数も減り、仮に侵入しても短期で出ていくようになった」と説明。「設置前は一晩で100頭以上が入り込んでいた。柵の設置でシカの湿原利用はほぼなくなった」とした。

その上で、木道と交差する箇所にある散策者用ゲートの閉め忘れが、侵入を許す一因になると改めて指摘。柵の点検や修理とともに、散策者への注意喚起を継続していくよう呼び掛けた。

霧ケ峰でシカの出現状況調査(ライトセンサス)を続ける県環境保全研究所の黒江美紗子技師は「調査を始めた10年前に比べ、発見頭数は約3倍になっている」と報告。森林帯から離れた場所でも見掛けるようになったとし、「植物への影響は、以前より広い範囲でいろんな種に及んでいる可能性がある」と警鐘を鳴らした。関係者や一般市民ら約90人が聴講した。

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