2022年2月21日付

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玉川学園創立者の小原國芳さんは、「夢」の字の「タ」の部分を一画多くし「夢(夕の部分一画多い)」と好んで書いた。「一つでも多くの夢を持ってほしい」との願いが込められた創作文字だという。同学園のホームページに文字の由来が説明されている▼世相や生活、夢を反映した一字を公募する「創作漢字」コンテスト(産経新聞社など主催)の入賞作に「(子夢)」の字を見つけたときも、着想に感心した。訓(意味)として、育てる、はぐくむ、膨らむ、開くとある。意味合いからして「子偏」はなるほどふさわしい▼スポーツ選手にとって、多くの夢をはぐくみ、膨らませ、開かせて挑む場が大会だろう。世界各国のアスリートが夢の実現に向け競った北京五輪がきのう閉幕した。日本勢は冬季五輪としては過去最高の18個のメダルを獲得するなど素晴らしい戦いを見せてくれた▼熱戦の余韻も冷めやらないなかではあるけれど、大会を振り返ってみると敗者の姿ばかりが目に焼き付いている。コンマ1秒が、あと一歩が、わずか1点が無情にも勝敗を分ける。頂を目指す選手一人ひとりに挑戦の物語があり、ときに悔しい敗戦が人の心を打つ▼吉野弘さんの詩「漢字喜遊曲」の一節にある。〈幸いの中の人知れぬ辛さ〉。「幸」と「辛」は横線一本の違いである。ここで敗れたアスリートたちは「 夢(夕の部分一画多い)」を抱き、辛を幸に変えるために挑み続けるだろう。夢多く幸多かれと願う。

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