芸術文化の拠点に 割烹伊久美リノベーション

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芸術文化の発信拠点として生まれ変わろうとしている割烹「伊久美」=諏訪市大手

諏訪を訪れた上客をもてなす宴席の場、地域住民が人生の節目を祝う会場として長く愛された割烹伊久美(諏訪市大手)が、芸術、文化の交流と発信の拠点として生まれ変わろうとしている。同店を営み、昨年10月に永眠した栗原好子さん(享年72)の遺志を継いだいとこの栗原清一さん(77)がプロジェクトを進めている。昭和の雰囲気を生かした空間に生まれ変わらせ、5月に開設予定。都市の感性と地方の伝統が交わり、新たな価値を創造する場となりそうだ。

■新たな形態で人々が集う場に

清一さんは幼少のころからいとこの好子さんらと親しく、大人になってからも諏訪地方をたびたび訪れており、「私の第二の古里」とほほ笑む。現在は包装資材のフィルムメーカー「クリロン化成」(大阪市)の社長を務める。同社はものづくりに加え、文化活動にも力を注いでおり、「クリロンワークショップ」と銘打った活動を展開。展覧会や絵画教室、セミナーや豊かな発想を持つさまざまな人たちの交流の場を都内に設けている。

好子さんが母、姉とともに守ってきた伊久美を新たな形態に改め、人々が集う場に するプロジェクトは2年ほど前にスタート。閉店した店内の整理のためにクリロンワークショップのデザイナーが伊久美を訪れ、そのたたずまいから、「このままなくしてしまうのはあまりにもったいない」とリノベーション計画を発案。古材、建具の再利用を提案するリビルディング センタージャパン(諏訪市小和田)、建設業のスワテック建設(同市城南2)に協力してもらい、新たな命を吹き込むことにした。

施設名は「クリロンワークショップ伊久美」。多くの人に親しまれた伊久美の名前を残すことにした。クリロンとしては芸術、文化の創造発信拠点を初めて都内以外の地方に設けることになる。コンセプトは「暮らしと伝統」とした。

改修後はギャラリースペースとする予定の伊久美内の2階フロア。天井の梁は元からあったものを活用。独特の風合いを感じさせる=2月14日

■新しい何かが生まれる空間

同施設は、さまざまな作品展示ができるギャラリー、陶芸やクラフト作品などの制作に利用できる工房のようなスペース、料理教室などにも使えるレンタルキッチンの機能を持つカフェなどで構成する方針。リビルディングセンタージャパンの東野唯史社長(37)は「上諏訪で歴史を紡いできた伊久美を知る人たちが当時の記憶を思い起こすような雰囲気を大切にしつつ、多くの人が集いたくなるような空間をつくる。その出会いから新しい何かが生まれる。そんな場所にしたい」と語る。

■諏訪の伝統と感性が一つに

清一さんによると、好子さんは多くの人が集まる空間に身を置くことが好きだったそうで、クリロンワークショップ伊久美の完成を心待ちにしていた。清一さんは「諏訪は縄文時代より多くの人が暮らした歴史と文化がある。諏訪の伝統と今の感性が一つになるとき果たして何が生まれるのか。何でもかんでも東京という時代ではなくなりつつある今、日本のほぼ真ん中に位置する諏訪で新たな活動が芽生え、広がることを期待しているし、好子の願いでもある」と語った。

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