2022年2月24日付

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天竜川漁協(伊那市)と下伊那漁協(飯田市)が管轄する天竜川水系で渓流釣りが解禁になった。渓流釣りといえば、赤石山脈の源流域でヤマトイワナを釣った記憶がよみがえる。「ゴンッ」。重くて鈍い魚信にさおを合わせると、深い淵から反転を繰り返す魚体が姿を現した▼日本に生息するイワナ4亜種のうち、伊那谷の源流にすむヤマトイワナは総じて魚体があめ色で、オレンジ系の点があり、沢筋の違いによって時に深緑、時に黄色が混じり、婚姻の季節はひれ先を赤く染める。利己主義を隠さずいえば、魚体はとにかく美しい▼イワナは川の最上流域にすむ。過酷な環境で太古から連綿と命をつなぐ生態に勇気づけられ、種の保全を願わずにはいられない。本州には養殖しやすいニッコウイワナという亜種がいる。最近までヤマトのすむ流域への放流が盛んでニッコウとヤマトの交雑が増えた。交雑種は魚体に白点が混じるのが特徴だ▼伊那市では三峰川にすむ交雑のないヤマトイワナを守る活動が続く。こうした意識の浸透が保全につながる。漁場管理を通じた自然繁殖にも期待したい▼20代前半の頃、近所に釣った魚の数を自慢する同級生のお父さんがいた。いつもびくには大きなヤマトイワナが入っていた。例え「1割の達人が9割の魚を釣る」としても、切ない気持ちになり「魚を残したい」とヤマトイワナを釣るのをやめた。30年がたつ。

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