2022年2月26日付

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躍動する選手、熱狂冷めやらぬサポーター、興奮のるつぼと化したスタジアム。高校生だった当時、テレビに映る歴史的な開幕戦にくぎ付けになった。サッカーJリーグは、1993年の創設から30年の節目となるシーズンを迎えた▼事前の宣伝効果もあって、初年からメディアに取り上げられ注目の的に。個性ある選手たちも人気に拍車をかけ、一大ブームを巻き起こした。ただ、関係者の達成感はここにあらず。もっと先に輝くべき未来を見据えていた▼「Jリーグ百年構想」をご存じだろうか。全国で地域密着型クラブを育て、百年かけてスポーツのすそ野を広げようと提唱。芝生の広場や運動施設を作り、種目を超え振興を図ると掲げた。試合結果を当てるスポーツくじの収益が、いろんな施設の整備費に使われているのが好例だ▼初代チェアマンを務め、強烈なリーダーシップで時代の寵児となった川淵三郎氏。「人気なんて一過性のもの。目指すのは文化としての定着だ」と慢心せず、息の長いホームタウン活動の普及を説いた。わずか10クラブで始まったリーグは、現在県内2チームを含む58クラブが加盟。理念はぶれることなく着実に芽を伸ばしている▼昨今の政治経済ではどうも、効率主義や即効性をもてはやす印象が否めない。百年後の豊かな実りを思い描き、一粒の種をまく。Jリーグに学ぶ、懐の深い取り組みがあってもいいはずだ。

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