2022年3月2日付

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北京五輪が幕を閉じてしばしたつが、高梨沙羅選手の言葉が心に刺さったまま抜けないとげのように痛む。スキージャンプ混合団体戦で失格となった彼女は、ネット上で「皆んなの人生を変えてしまった」とわびた▼スポーツ選手は大会で最高の力を発揮することに一意専心、自身を徹底的に管理して錬磨を重ね、大舞台に立つ。言葉にするのは易しいが、その道の壮絶さを彼女の言にずっしりと感じた。選手は無論、支えるスタッフのその後も案じられる▼この件をはじめ、大会は時に観るのがつらくなった。たった一度のミスで暗転し、けがに泣き、未成年の選手が禁止薬物で批判にさらされた。「努力って報われない」と天を仰ぐ羽生結弦選手。メディアが報じきれない陰にあるものの重みに、評価はメダルの数と色だけにあらずと猛省もした▼選手が人生を賭して挑み、世界の友愛を体現した大会が終わるや否やロシア軍はウクライナを侵攻。戦場と化した街を市民が逃げ惑い、恐怖と不安に青ざめる姿が報じられている。平和への願いはかくも容易に踏みにじられ、世界の均衡はもろい▼平和と殺りくの双極が表出する中で、4日にはパラリンピックが開幕する。ウクライナ選手団は「平和のために戦う」と出場を表明した。見守ることしかできない。でもせめて、さまざまな障害に命懸けで立ち向かい、戦う人たちの思いと努力に心を寄せたい。

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