2022年3月5日付

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地下鉄の駅で、シェルターで、国外や郊外へ向かう電車やバスの中で。自分や家族、親しい人の命が突然、理不尽に奪われるかもしれない恐怖はいかほどか。瞬時に日常を奪い、絶望をもたらす戦争の非情をロシア軍侵攻に見せつけられ、身震いを覚える▼攻撃は激化し、砲弾は軍事施設ではない住宅や大学、原発にも及ぶ。殺傷能力の高い武器の使用も指摘される。ロシアなりの正義があるのだろうが、非道な蹂躙で罪なき人々の穏やかな日々や未来を奪う理由にはならない▼約30年前の湾岸戦争では、当時最先端のコンピューターが組み込まれた兵器がピンポイントで標的を攻撃する映像が強調された。爆撃の煙の下には、犠牲になった人たちがいる。テレビゲームを連想させる映像は現実感が乏しく、命の軽視と批判された▼対照的に、今回の侵攻では生々しい現場の様子が世界に発信されている。涙を流し嘆く子どもや女性、住民の抗議を受け反論できず頭を抱えるロシア兵の姿も映し出された。情報技術の発達で、一部ではあるが民衆発の情報で共感が広がっている▼ネット情報はロシア国内の反戦デモにもつながっているという。ソ連崩壊はファクスの普及による情報伝達の向上が要因との指摘もある。今回はSNSがそんな役割を果たせないか。平和の祭典北京パラリンピックも開幕した。人を思う力、つながる力が兵器を上回ることを強く願う。

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