県内「まん延防止」解除 時短終了も不安先行

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「まん延防止等重点措置」に伴う営業時間短縮を告知する張り紙=伊那市内

新型コロナウイルス対策で県内に適用されていた「まん延防止等重点措置」は6日で解除された。飲食店への営業時間の短縮要請も終了。飲食店にとっては書き入れ時の年度末を迎えるが、感染が収束したとは言えず、「客足がすぐに戻るとは思えない」と不安が先行する。県は19日~4月10日を対策強化期間と位置付け、年度末・年度始めの会食や移動よる感染再拡大を防ぐよう呼び掛けており、まだまだ手放しでは喜べない状況が続く。

■「すぐに客足回復とは・・・」 飲食店

「伊那市はまだコロナ陽性者が多い。まん延防止等重点措置が解除されても急にお客さんが増えることはないだろう。プラスの要素は見当たらない」

同市坂下で飲食店「軽食喫茶プリンス」を経営する神田浩一さん(51)は、重点措置に伴う飲食店の営業時間短縮要請があった際、酒類提供の判断に迷った。同店は県の「信州の安心なお店」の認証を受けており、酒類を提供しなければ提供するよりも協力金の額は多い。だが、創業50年余の歴史ある同店には、酒を愛飲する常連客も多い。そのため酒類提供を選んだ。すると土、日曜日の昼間に酒を楽しむ客が少し増えた。

「店は、気を遣って来てくれる常連さんの心意気で成り立っている」と感謝する。神田さんの店は家族経営のため家賃は不要だ。だが飲食店の仲間には多くの従業員を抱えたり、賃貸物件で営業したりする人もいて出費はかさむ。「飲食店ばかりでなく酒や食材を卸す業者も本当に厳しい状態。とにかくコロナの収束を願い、仕事で忙しい春を迎えたい」と話した。

■「人流が戻らないと」 カラオケ店

2月中は休業していた伊那市荒井のカラオケ店「カラオケ空間ANON」。3月からカラオケのみ営業を再開。まん延防止解除後は通常の営業時間に戻し、酒類の提供も再開する予定だ。

まん延防止期間中は時短要請に協力。酒類の提供中止に加え、カラオケ機器のレンタル料負担を軽減するため、カラオケを一時休止し、飲食のみの営業に切り替えたが、利用客から「カラオケなしのカラオケ店なんて」と言われ、「心が折れた」(オーナーの桜山野乃さん)。わずか3日で休業を決めた。

それでも「(苦しいのは)自分だけではない」と気を取り直し、店の看板を書き直したり、雑用をこなしたりして営業再開に備えた。「協力金はありがたいけど、長い目でみればやはり営業で売り上げを上げていかないと」。

だが、上伊那地域ではこのところ、感染者が急増。予断を許さない状況が続く。「うちみたいな店は2次会での利用がほとんど。人の流れが戻らないと厳しい」。国に対しては「(軽症者が多いとされる)オミクロン株の特性に合った対策を」と訴える。

■長期視点の対策を 酒店

「まん延防止が解除されるのはうれしいけど、以前のような状態にはなかなか戻らないのではないか」。伊那市荒井の酒店「さかや正藤」の山浦邦夫さん(78)も先行きへの不安がよぎる。

同店では飲食店に酒を卸す外販の売り上げが5割ほど。まん延防止解除に伴う飲食店の酒類提供再開に期待を寄せるが、仕入れは少し増やした程度という。「特に上伊那地域は感染者が増えており、警戒感は強い。客足がすぐに戻るとは思えない」。

一方の店売りについても厳しい見方を示す。「家飲みが増えていると言われるが、外出自粛で街に出ている人の数自体が少ないため、客数も増えていない」という。

コロナ前と比べ店の売り上げは半分以下に落ち込んだまま。経費だけは変わらない。酒販店には飲食店のような協力金もなく、「個人では頑張りきれない」とも。

山浦さんは「(国や県の感染対策は)行き当たりばったりで翻弄されている。酒だけが悪者になっている感じもある。こんなことがいつまで繰り返されるのか。もっと長期的な視点で対策に取り組んでほしい」と求める。

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