2022年3月11日付

LINEで送る
Pocket

諏訪市が上諏訪地区の小規模区に対して近隣区との連携や再編を提案している。JR上諏訪駅周辺を取材をすると、小規模区で区長を2年間経験した男性からこんな言葉が返ってきた。「いずれ区は破綻する」。子どもがいないことが理由という▼同市には100世帯未満の小規模区が39区あり、うち約9割が上諏訪地区に集中する。人口減少と少子高齢化が進み、多くの区が慢性的な役員不足に直面し、共同生活の基盤が揺らいでいる。65歳以上の区民が50%以上となる”限界集落”が「町中にある」と話すお年寄りもいた▼諏訪湖畔に位置する上諏訪地区は江戸時代に城下町として発達し、戦後は「東洋のスイス」と呼ばれるほど精密機械工業が発展して人口が急増した。しかし1970年代以降は企業の市外移転が進んで空洞化し、この半世紀で1万人以上も減った。現在の人口は1万8700人。60ある区は今も残っている▼東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市の人口は1万8281人。震災前に比べて24.6%減ったが、大津波に町が破壊され、人々が離れ離れになりかけた時、人間関係を結び直す役割を果たしたのは、地域の伝統行事だったという▼諏訪市の提案を受けて動き出した区はないが、「支えあい活動」を長年続ける人や御柱祭を通じて地域の誇りを守ろうとする人たちがいる。地域の再生は、住民自ら行動しなければ始まらない。

おすすめ情報

PAGE TOP