2022年3月20日付

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忘れたいと思い、ずっと口にしてこなかったけれど、やっぱり無理―。かつて取材させてもらった戦争体験者。穏やかで楽しい印象の方だったが、戦争で体験した恐怖、目の当たりにした多くの惨状に長年苦しまされていた▼イラクやアフガニスタンで対テロ戦争を行った米国では、軍人の自殺者が退役者も含めると戦死者の4倍以上に上り、社会問題化しているという。心的外傷後ストレス障害(PTSD)や、そうした後遺症による偏見や差別に苦しむ元兵士も少なくないとされる▼砲弾を受け飛び散る体、治療を受けながらも多くの出血で助からなかった同僚、戦乱に巻き込まれた民間人の恨みや悲しみの目―。戦争の最前線では、生身の人間の命が次々と失われていく。次は自分か―。想像しただけで耐えられないストレスだ▼ウクライナに侵攻したロシア軍の兵士たちは、当初は訓練と知らされていたり、「解放」したウクライナの人々から歓迎されると信じていたりしていたとの報道も伝わる。真実だとすれば、ロシア兵は今、何と戦っているのか。やがて、米国と同じ苦しみを抱く若者をたくさん生み出すのだろう▼平和を願い、諏訪や上伊那でも各地で反戦の声が上がる。戦争は憎しみや悲しみ以外、何も生み出さない。多くの戦争体験者の声が生かされない現実がもどかしいが、民衆の力を信じて、かの地に笑顔が戻ることを願い続けたい。

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