2016年3月4日付

LINEで送る
Pocket

“運動会の華”組体操が安全優先か達成感かで、その存続が揺れている。年間8000件以上の事故が起き、重傷を負う例もあり、ここに来て全面禁止や一部禁止を打ち出す自治体が出始めた。安全は最優先すべき。だが、危ないから排除│には疑問を抱かずにはいられない▼紀元前2000年の古代エジプト文明の壁画にも見られる組体操。日本では明治初期に導入され、その後の体操教育の基礎とされてきた。危険性もはらむが個々の頑張りで危険は回避でき、体力や仲間意識、集中力の向上、成功時の達成感など組体操ならではの学びがあったことは確かだ▼ただ昨年9月、10段ピラミッドが崩れ、6人が重軽傷を負う深刻な事故が発生したのを契機に見直し論が波及。新年度を前に、大阪府や千葉県では全面禁止、一部禁止の方針を打ち出す事態となった▼思い返せば小学生時代、苦しい思いをしながらの組体操の練習には不満もあった。しかし運動会当日、演技を終えた後の達成感や級友がより身近に感じられたこと、家族らの称賛の拍手に、特別な感情がこみ上げた記憶は今も鮮明だ▼昨今の子どもを取り巻く環境は自ら見て、触れて、感じる機会がますます減らされているように思えてならない。半面、画面を通した仮想現実の世界ばかりが増えている。組体操廃止は簡単だが、人が生きていく上で必要な現実の学びの場を一つ失うことにもなる。

おすすめ情報

PAGE TOP