iPS細胞で心臓機能回復 信大研究グループ

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iPS細胞を用いて心臓機能が回復したと発表する柴祐司准教授=松本市の信大本部

iPS細胞を用いて心臓機能が回復したと発表する柴祐司准教授=松本市の信大本部

信州大学バイオメディカル研究所(松本市)の柴祐司准教授らを中心とした研究グループは、サルの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋細胞を心筋梗塞を起こした別のサルに移植したところ、心臓の機能が回復したと発表した。iPS細胞を用いて開発した心筋再生治療法は、心臓病患者を治療するための再生医療につながると期待されており、研究成果は11日発行の英科学雑誌ネイチャー電子版に掲載された。

柴准教授によると、サルのiPS細胞を使って心臓の筋肉を作製し、心筋梗塞を発症した別のサルに心筋細胞を移植した。12週間にわたり経過観察した結果、移植した心筋細胞が周囲の組織に定着し、心臓の機能が5~10%程度回復していることが分かった。

同研究グループは2012年、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)から作った心筋細胞をモルモットに移植し、心臓機能が回復したことを確認しているが、「異種移植」では移植後の拒絶反応を評価することができなかった。

今回実験に用いたのはカニクイザルで、医薬品の安全試験などを行うイナリサーチ(伊那市)が提供した拒絶反応が起きにくい特殊な個体。移植した心筋細胞は拒絶反応の影響を受けずに定着したうえ、サル同士による「同種移植」でも、iPS細胞を用いて心臓機能の再生が確認できた。ヒトに近いため、研究チームは数年以内にヒトへの応用を目指す考えだ。

その一方で、移植を受けたサルは副作用として一時的に不整脈が増加傾向にあることも分かった。柴准教授は「頭の中では解決するための目星はついている。現在研究を進めているところ」と述べた。

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