ガラス工芸家江副さん 伊那谷で最後の展覧会

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伊那谷でおよそ40年にわたり熔壌ガラスの制作を続けてきた江副さんの回顧展

日本ガラス工芸の第一人者、江副行昭さん(89)の回顧展が22日、伊那市長谷非持の江副ガラススタジオ・ギャラリーで始まった。ガラスに土を加えて仕上げる深みのある色合いの「熔壌ガラス」を生み出し、同市高遠町、長谷で創作を続けて40年余。高齢になったことから今月末で工房を後進に譲り、この地を離れるため、同所での最後の展覧会となる。初公開作品を含め約300点を展覧している。27日まで。

江副さんは佐賀県の出身で21歳から創作を始めた。日本の青畳に似合うガラス器作りを目指し、理想の土を求めて国内外を巡っていた時に酸化金属を多く含む高遠町の土に出合い、1982年に同地区にスタジオを設立。95年に長谷に移し活動を続けてきた。

熔壌ガラスは、土の中の鉱物や酸化金属がさまざまな発色や窯変を起こし、メタリックや虹色などの独特な色味になるのが特徴。98年の長野冬季五輪スピードスケートショートトラックのスタート順を抽選する「ドローポット(くじの入れ物)」の制作なども行った。

長年創作を支えてきた弟子の江口智子さんが5年前に亡くなったのを機に、熔壌ガラスの創作は引退。今後は埼玉県の自宅で暮らし、板ガラスを使ったガラス絵などの制作を続けていくという。

会場には皿やグラス、花入れ、つぼなどのほか、江口さんと最後に作り上げた花器なども並ぶ。「あっという間。思い出に残るものが多く、この地でないと作れないものを残せたということでは大きな意義のある40年だった。制作をやめても悔いはない」と伊那谷での創作活動を振り返る江副さん。「ここでの最後の展覧会なので、多くの人に来てもらえたら」と話している。

入場無料。午前11時~午後5時(最終日は午後4時まで)。問い合わせは同展窓口のベルシャインニシザワ外商部担当者(電話090・4093・5066)へ。

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