2022年3月24日付

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先日、床屋で髪を切ってもらっていたら、隣の席のお客さんが最近はどこの街も不景気だと嘆きつつ、「でも、どんなへき地に行っても床屋さんがあって、看板がくるくる回ってるんですよね」と感心していた▼善光寺の境内に理髪にまつわる石碑があることを読者の床屋さんに教えられて探したことがある。理髪業の祖とされる藤原采女亮への崇拝から1897(明治30)年に業界団体が建立した▼采女亮の父親は鎌倉時代に京都御所を警備していた武士で、紛失してしまった御所の宝刀を探すために蒙古襲来で武士が集まる下関に采女亮を伴って訪れ、髪結い業を営みながら宝刀の行方を追った。10年後に父は没するが、采女亮は髪結いの腕を買われて幕府から重用されたという。理髪業は開祖からしてたくましい▼とはいえ、カット専門店の普及で価格競争が厳しいし、総務省の家計調査によると、新型コロナの1回目の緊急事態宣言が出た2020年4月の理美容への支出は大幅に減少し、例年は支出が増える3月も21年は2回目の緊急事態宣言下で例年ほど増加せず横ばいとなった▼「くるくる回る看板」は赤と白が外科医を、青が理容師を表し、中世の欧州では理容師が外科医を兼ねていたという。当時から街になくてはならない店だったのだろう。コロナ禍の長期化による影響が懸念されるが、昔ながらの街の床屋さんには踏ん張ってもらいたい。

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