ミヤマシロチョウ 生息個体群の遺伝解析

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ミヤマシロチョウ

県環境保全研究所や兵庫県立大学などの研究グループは23日、県天然記念物で絶滅危惧種に指定されている「ミヤマシロチョウ」について、長野、山梨、静岡に生息する各個体群の間で遺伝的な違いがほとんどないことが分かったと発表した。今後、八ケ岳やミヤマシロチョウが絶滅した生息地への再導入を検討する際に重要な判断材料となる。

ミヤマシロチョウは、本州中部の標高1400~2000メートルの亜高山帯に生息する日本固有種。かつては北アルプスにも生息していたが、生息地の開発や植生などの環境の変化により、現在は八ケ岳や浅間山系、南アルプスの五つの個体群に減少した。近年は、ミヤマシロチョウが初めて発見された八ケ岳でもほとんど確認できなくなっている。

八ケ岳での生息個体群復活には、生息環境の改善とともに、ほかの生息地から個体を移す「再導入」が必要となるという。しかし、再導入には、従来の個体群がそれまで紡いできた独自の歴史を壊す遺伝子汚染の恐れがあることから、研究グループは各生息地の遺伝多様性などを調査し、八ケ岳の個体群と遺伝的に近い個体群を調べた。

研究では、五つの個体群からミヤマシロチョウのサンプルを採取して遺伝解析を行った。その結果、各地域でも遺伝的な差異が非常に小さいことが判明した。どの地域から移動させても従来個体の遺伝子を乱す恐れは小さく、八ケ岳、浅間山系、南アでいずれも一つの保全単位とした。一方で、個体群によっては食樹や生息環境が微妙に異なる可能性を指摘し、これを考慮した再導入元の探索を求めた。

研究は兵庫県立人と自然の博物館の中濵直之研究員や長野県保研、信州大、東北大、富士山科学研究所などの共同研究。論文は1月10日付で国際科学誌「Journal of Insect Conservation」の電子版に掲載された。

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