2022年5月15日付

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注連掛の森に、木やりが甲高く響く。それに呼応し、氏子の掛け声が雄々しくとどろく。綱に力が伝わり、御柱が動く。諏訪大社御柱祭のフィナーレとなる下社里曳きが14日、幕を開けた。曳行路は、自らの手で柱を曳ける氏子衆の喜びにあふれた▼新型コロナウイルス対策のため、今回の山出しは御柱をトレーラーで運搬し、重機の力も借りる異例の対応に。里曳きはみんなの手で―と思いを抑えた分、柱の重さを感じて綱を引く感慨はひとしおだろう。春宮境内の木落しでは、気迫と熱気がこれまでにも増して弾けたように感じた▼ひと足早く御柱を曳き建てた上社も歓喜と安堵の空気に包まれたが、一方でメドデコからの落下でけが人が出たほか、建て御柱の際には柱が旋回し、あわやと肝を冷やした。柱の方向転換や、鳥居の通過に手こずったりする場面も見られた▼氏子や大総代からは、これまでの里曳きでは考えにくい状況もあったとの指摘や、「柱が暴れた」「柱になじむ時間が足りなかった」といった声もあったと聞く。コロナによる練習不足や山出しで曳行ができなかった影響があったのかもしれない▼神は細部に宿る―。もとは建設に関わる言葉だったらしいが、今はビジネスやスポーツなどでも広く教訓として用いられる。きょうから建て御柱が行われる。協力一致で心を配り、これまでの努力を昇華させて有終の美を飾ってほしい。

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