上農高に食肉処理室 ジビエの教育機関へ一歩

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完成させた食肉処理室で、シカを解体する畜産班の生徒たち=(上伊那農業高校提供、4月17日)

鹿肉の加工に取り組む上伊那農業高校(南箕輪村)畜産班の生徒らが中心となり、1年かけて校内の実験室を改修して食肉処理室を完成させた。県伊那保健所の指導を受けて基準を満たし、食肉の「処理業」と「販売業」の営業許可を取得。既に「製品製造業」の許可は得ていることから、鹿肉の解体から加工販売まで一貫した取り組みが可能になった。駆除された有害鳥獣を地域資源として活用する中で、さらに新たな研究や価値観の創出につなげる。

同班は23日、協力してくれる地元の関係者やOBらを招いて見学会を開催。約40平方メートルの部屋を仕切り、皮をはいだりする下処理と部位解体の2室構成に仕上げた処理室を公開した。

生徒自ら天井や壁のペンキを丁寧に塗り直すなど、保健所の審査が通るように改修。班長の中村陽水さんは「基準を満たすために神経を使った」と振り返る。

4月から実際に使用を開始し、既に2頭を解体。同班の生徒たちは今までも解体の実習を校外で行ってきたが、昨年度は改修作業に追われて機会も減っており、久しぶりの作業となった。

「シカの温かさがまだ残る中で心苦しさもあった」と中村さん。「けれどいただいたた命を大切にし、なお一層シカのおいしさを多くの人たちに伝えていけたら」と話した。

有害鳥獣の実態を多くの人に知ってもらい有効活用しようと取り組み始めて10年。伊那市新山地区の猟友会員からシカの提供を受ける中で研究を進め、2016年には校内に加工室を設けて県内の高校で初めて「食肉製品製造業」を取得し、ビーフジャーキーを製品化した。

今回の処理室完成で全国的にも珍しいジビエの教育機関として一歩踏み出したことで、生徒たちの意欲はさらに向上。小学校の給食に提供しようとミートボールの試作を行っているほか、シカの胃の内容物の調査研究や、角など食肉以外の活用に向けてもアイデアを出し合っている。

校内で年間10頭ほどの解体加工処理を計画。地域にも開けた取り組みにしていく考えで、同班顧問の境久雄教諭は「生徒たちも含め、ジビエを通して自然環境に対する意識を高めていってもらえたら」と期待する。

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