2016年10月20日付

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「祭りを盛り上げる狙いを考えると違和感があった」という説明に、違和感を感じた人もいたのではなかろうか。青森県黒石市の写真コンテストで、被写体がいじめを苦に自殺した女子中学生だったのを理由に、最高賞を取り消した主催者の説明。だが、真意は「盛り上げ」とは程遠い場所にあったと思えてならない▼2016年黒石よされ写真コンテストの応募要項。「期間中の写真に限る」とテーマ欄にあるほかは、応募の方法や締め切りなど一通りの説明のみ。趣旨の類いはない。「祭りを盛り上げる狙い」うんぬんの主催者談話が、そらぞらしい言い訳に聞こえる▼上伊那地方においても一部に首を傾げざるを得ないコンテスト審査会があった。長老格の出方をうかがいつつの各賞の決定や、専門家が一人もいない中で、いかにも片付け仕事で賞を決めていく―など▼いずれも表向きの仰々しさに反し実際は裏付けのない理由やご都合主義を優先し、ろくに議論もなく進められている。そこには作品を通じて作者の思いや労苦を見通す視線はなかった▼19日夕、黒石市は記者会見を開き「賞の取り消しを撤回し、改めて最高賞を贈る」と発表した。「面倒に巻き込まれたくない」ともとれる違和感ある対応への批判の嵐に打ち負かされたのだろう。作品が今後、いじめ撲滅への象徴になるとともに、審査会見直しのきっかけになることを望んでやまない。

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