2016年10月24日付

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一昨年のこの時期。伊那市の山あいで車を走らせていると、道路を横切るサルと目が合った。ブレーキを踏み向かう先を見ると、収穫後の田んぼで20頭以上が落ち穂を拾っていた▼追い払いを試みようと車を降りたが、慌てる様子もなく、こちらが近寄る分だけ退くばかり。ついにはボスと思われる立派な体格の雄ザルににらまれ、こちらがたじろぐ始末だった。その間も口に運ぶ手を休めない泰然とした態度に、農家の苦悩を垣間見た思いでため息が出た▼県の統計では、野生鳥獣による昨年度の農林業被害額は県全体で9億7千万円弱。2007年度の17億円余から減り続けてはいるが、自家用栽培のみの家庭は被害を報告しないことも多く、隠れた被害もかなりあるとされる▼先日、あの凄みを利かせたサルはボスではないことを知った。群れを統率するのは雌だという。駒ケ根市が開いた獣害対策講習会で、講師を務めた上伊那地方鳥獣対策チームの竹松清志さんから教わった。サルが真似ると聞かされた石投げも骨格の構造から人間のようには投げられないといい、「どんどん投げて」と助言されていた▼いずれもサルに限らず、獣害を効果的に防ぐには動物の生態を知ることが不可欠という話の一例。個々でなく、集落で団結することも重要という。講習や相談の要請は大歓迎とのこと。行政の支援を上手に活用し、野生動物との知恵比べを制したい。

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