コロナ乗り越え夢実現 親湯のタプティムさん

LINEで送る
Pocket

細かなところまで気を配る日本のおもてなしの心を食器の置き方から学ぶタプティムさん(左)

茅野市蓼科の老舗旅館「蓼科親湯温泉」でタイ出身のオラチュン・ピムチャノック・タプティムさん(29)が働き始めた。昨年11月に採用が決まったものの、新型コロナウイルス感染症に対する国の水際対策で入国が認められず、宙ぶらりんのまま約半年を過ごしてようやく来日。「外国人観光客の受け入れはこれから本格化する。蓼科の良さを海外の皆さんに知ってほしい」と、業務の傍ら英語での魅力発信にも取り組む。

タプティムさんは母国語の他に英語が堪能で日本語も流ちょう。2016年4月から1年半、親湯温泉で働いた後、スイスに渡り、大学院でホテルのマネジメントを研究。19年10月に卒業後、いったんタイに戻り、次のキャリアを考えていたところで新型コロナウイルスの世界的大流行が始まった。各国が入国禁止措置を取り、思い描いていた海外でのホテル勤務の夢に暗雲が立ち込めた。

コロナ禍が長引き、自らの進路に悩んだ末、最終的に働きたいと思ったのが、親湯温泉だった。「日本のおもてなしの心は本当に素晴らしい」と語る。オンライン面接を受け、採用が決まった。

ただ、入国に必要な査証(ビザ)はなかなか取得できなかった。「一日も早く日本で働きたい」という思いと「このまま30歳になってしまったら、自らの生き方を考え直さなければ」という不安に揺れ動く日々が続いた。5月に入りようやく入国がかない、「本当にうれしかった」。

現在は飲食やフロントなど多役をこなす。海外からの訪日客が訪れた際には得意の語学を生かして接客対応する。タプティムさんによると、海外の人にとって長野県の知名度は「思ったほど高くない。知られているのは軽井沢くらい」とのこと。一方で「蓼科の自然、アウトドアは多くの外国人に受け入れられるはず」とし、海外向けのSNSに英語で投稿を続ける。

長く新型コロナに翻弄されたが、「人生には思い通りにいかないことがある。一方でたくさんの人からの応援も感じられた。感謝の気持ちを大切に日本で頑張りたい」と前向きだ。

おすすめ情報

PAGE TOP