2016年10月29日付

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生命は自分自身だけでは完結できないようにつくられているらしい―。吉野弘さんは「生命は」という詩で、そう書いている。〈花も/めしべとおしべが揃っているだけでは不充分で/虫や風が訪れてめしべとおしべを仲立ちする〉▼花を咲かせる顕花植物が植物相で重要な位置を占めるようになったのは、恐竜がわがもの顔で地上をかっ歩していた白亜紀のころ。世界中に花が増え始めた時期は、最古のハナバチが現れた時期と重なるという。花とハチは助け合いながら、共に進化を続けてきた▼東京・銀座クラブのママさんの講演会で、日本一の繁華街、銀座でミツバチを育てる活動があることを知った。その名も「銀座ミツバチプロジェクト」。老舗の若旦那やバーの支配人、ホステスなどさまざまな人が参加し、採蜜量は年1トンを超えるというから驚く▼取り組みを始めたのは米国でミツバチの大量消失が問題となった2006年から。「銀座から環境問題を発信しよう」。10年間で同志の輪は大きく広がり、屋上緑化に協力するビルも増えた。養蜂を始めてから銀座のソメイヨシノは実をつけるようになったという▼太古の昔から人間の良きパートナーであるミツバチの減少は気になるところ。「みつばち百花」というNPOは、「ミツバチが喜ぶ花粉源・蜜源植物を選んで植えよう」と一般にも協力を呼びかけている。ミツバチへの恩返しである。

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