下諏訪町長選課題を探る―上 人口減少

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「移住コンシェルジュ」の小口さんと自宅で歓談する柳沼さん(右)。今でも交流が続く

「移住コンシェルジュ」の小口さんと自宅で歓談する柳沼さん(右)。今でも交流が続く

下諏訪町の中心街にある落ち着いた雰囲気を漂わせる民家。柳沼啓子さん(57)は一昨年夏に完成した家の窓から西の山並みを眺め、「この夕暮れの景色がとてもきれいで。いつも癒やされます」。笑顔を見せた。

諏訪地方を初めて訪れたのは、埼玉県桶川市に住んでいた5年前。湖や山の豊かな自然環境に引かれた。セカンドハウスを検討していたこともあり、2年間にわたって再三訪れ、「温泉や美しいたたずまい、素晴らしい人たちがいる町」と下諏訪への移住を決めた。住民票を移し、昨年夏から大半をここで過ごす。

2015年国勢調査によると、同町の人口は2万236人。ピークの1971(昭和46)年から25%以上減った。前回10年の調査と比べた減少率も6・0%で、諏訪地方の市町村で最も減り方が激しい。地方の人口減少は全国的な問題だが、下諏訪にとっては特に大きな課題と言える。

町ではこうした対策の一つとして移住定住促進に力を入れてきた。空き家情報バンクの開設、空き家取得改修の補助金整備、移住希望者へ情報提供や援助をする「移住コンシェルジュ」の委嘱、移住定住促進室の設置。柳沼さんはその「移住コンシェルジュ」の取り組みで移住が実現した初のケースだ。

新しい土地になじめるか、現役世代であれば仕事はあるのか、子育て環境は―。移住には誰にとっても不安がつきまとう。柳沼さんは最終的な決断の理由として、移住コンシェルジュの小口みゆきさん(65)が親身で相談に乗り、情報を提供してくれたことを挙げる。「小口さんがいなかったら、移住は夢で終わっていた」とまで言う。

今夏町内に椅子張り店を開業した北澤佳奈子さん(34)も、そうした人との交流で下諏訪を選んだ一人だ。「空き店舗を借りるまでに出会った町の人も、不動産屋さんも、町役場も親切に対応してくれた。『ここで頑張って』と言ってくれているように感じた」と振り返る。

人口減少対策に特効薬はなく、移住促進もまた一朝一夕では進まない。町中心部の御田町商店街で、移住してくる開業希望の若者らを支援してきた「おかみさん会」の河西美智子さん(69)は「住民が移住者を温かく迎え入れる気持ちでいることが大切」とし、「その前の段階として、人口が減っていく問題についてみんながしっかり共通認識を持つことが大事だと思う」と話す。行政の諸施策と並行し、移住に対する住民の理解を深めていくことが求められる。

任期満了に伴う下諏訪町長選が15日告示、20日投開票の日程で行われる。進む少子高齢化への対応や地域間競争の激しい観光振興の取り組み、身近に迫る災害への対応。4年に1回の選挙を機に町の現状と課題を見る。

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