下諏訪町長選課題を探る―中 観光振興

LINEで送る
Pocket

「おんばしら館よいさ」の木落し体験装置。多くの観光客が木落しの雰囲気を味わっている=10月7日

「おんばしら館よいさ」の木落し体験装置。多くの観光客が木落しの雰囲気を味わっている=10月7日

砥川の流れが聞こえ、近くに諏訪大社下社春宮の森が見える下諏訪町の観光施設「おんばしら館よいさ」。10月上旬のある日、神奈川県秦野市から団体客約50人が訪れた。ビデオ上映などで祭りの説明を受け、一行の一人、山内隆顕さん(72)は「御柱祭はテレビで見たけれど、映し出されるのは勇壮な場面ばかり。こうして見ると、華やかさを併せ持つ祭りであることが分かります」。展示された法被や長持ちにカメラを向けた。

諏訪湖や八島ケ原湿原といった豊かな自然に加え、諏訪大社、旧温泉宿場町という歴史的な資源を持つ下諏訪町。だが、観光の入り込みは御柱祭に大きく左右される。町の集計だと、前回祭りがあった2010年に町を訪れた観光客は約372万4000人。これに対して11年以降は観光客が155万~176万人で推移する。前々回の祭りとその後も同様の傾向だった。

町はこうした御柱祭のない時期や祭り以外の年の落ち込みを抑えるよう、取り組みを続けてきた。町並み整備を進め、大社通りの八幡坂高札ひろば、土蔵活用の休憩所、旧中山道沿いの伏見屋邸といった施設整備などで町歩きの魅力を高めた。今年4月開館した「おんばしら館よいさ」もその一つ。立ち寄り場所の少ない春宮周辺の観光スポットとし、活性化を狙った。

同館によると、4~10月の有料入館者は約1万6300人。年間目標の1万8000人に向けて順調に推移していて、「県外の団体が予想以上に利用してくれている」と宮越公之進館長(66)。ただ、一方で「オフシーズンの冬場はかなり来館が減るのではないか」とも心配する。

町産業振興課も御柱効果が薄れる来年以降に向け、「展示替えや体験イベントを検討するなど、いかに祭り文化を伝える場として情報発信していくかを考えていかないといけない」とする。

町内の町歩きをする人は、魅力を高める取り組みによって着実に増えた。旧街道の交流施設「伏見屋邸」で運営に関わる嶋田十三男さん(78)は「以前は土日に集中していた町歩きの人が平日にも広がりつつある」。その上で「通りから建物を見るだけから、中に入って湯茶や会話を楽しむ人が増えた」とし、観光客の体験型への志向の変化を感じ取る。

御柱祭の知名度を生かしつつ、体験型観光の要素も取り入れ、いかに観光振興を図っていけるのか。町内では宿泊や各種宴会でにぎわい創出に大きな役割を果たしてきた「ホテル山王閣」が、当初予定通りに来年3月末で営業を終える。御柱祭翌年の来年は町の観光にとって正念場になる。

おすすめ情報

PAGE TOP