諏訪地域で古布を細く裂いて織り込み再利用する「裂き織り(ぼろ機織り)」のPR活動や洋服を通した地域活性化に取り組む3人が手を組んで、裂き織りの生地を使った若者向けのベストと帽子を製作した。色彩豊かなものが多い裂き織りだが、今回作ったのは白の古布だけを使った洗練されたデザインの製品。茅野市ちのの古着店「LAGOM(ラゴム)」で4月から販売する。製品を通じて裂き織りが持つ可能性を伝え、地域の伝統産業を広めていきたい考えだ。
原村地域おこし協力隊で、地域資源の有効活用をテーマにした会社「ムラシゴト」(同村)代表の内田将大さん(33)、ラゴム代表の向井啓祐さん(36)、茅野市で裂き織りアーティストとして活動する柴田理咲さん(26)が中心となり取り組んだ。
若者に裂き織りの魅力をアピールしたい-。内田さんと向井さんは昨年9月に協同して、ベストを製作・販売した。今回は第2弾として、若者にも手に取ってもらえるようデザインを熟考。「通常はないものを作りたい」と、今回は白の裂き織りの製品を作ることにした。
製作したのはベスト2着と帽子2個。裂き織りの生地作りは原村内の織り手に依頼。内田さんが生地の調達や織り手への交渉を行い、向井さんと柴田さんがデザイン、柴田さんが縫製を担った。
裂き織りの生地を服にする際に課題となる生地の重さや厚み、伸縮性のなさは、シーツなどの柔らかい生地を使用し、異素材を組み合わせて細部の調整をすることで解消。ベストは動きやすく実用的で、生地と生地のつなぎ目もデザインとして生かすなど工夫して仕上げた。柴田さんは「自分でも気に入っている。かわいくて満足いくものが出来た」と納得の表情だ。
「服で地域を盛り上げたい」とさまざまな活動に取り組む向井さんは、その一環として地域産業の活性化にも力を入れており、「昔のものを現代の若者へ伝えたい。製品を通じて裂き織りや地域産業を知ってもらえたら」。内田さんは「裂き織りにはこんな可能性があるんだ、かっこいいなと思ってもらいたい」と期待を込めている。
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