岡谷市立岡谷美術考古館で16日から、カネジョウ(同市)の元会長で書道愛好家の故小口賢一さん(雅号・寉甫)の作品を集めた企画展「自然流の書」が始まった。遺族から寄贈を受けた収蔵作品を中心に、額装や掛け軸など30点余を展示。多様な字形や墨の濃淡を生かした表現豊かな独自の書がそろう。7月15日まで。
1913年諏訪郡平野村(現岡谷市)生まれ。諏訪蚕糸学校(現岡谷工業高校)を卒業後、著名な書家の津金寉仙と川村驥山に師事して独自の書を生み出し、「自然流」と名付けた。長年にわたり岡谷市美術会の顧問を務めたほか、店内に地元作家のためのギャラリーを設けるなど、地域の芸術文化振興に貢献した。
作品の多くが漢字を揮ごうした「一字書」で、さまざまな字形や線で自らの造形を追求。とりわけ好んだ「夢」については、仏をイメージした穏やかな形、けんかを表した荒々しい筆文字などが並ぶ。盆栽から着想を得た「松」もあり、古い葉が風に舞う姿を文字のかすれで表した。
学芸員の宇治美弥子さんは「これほど独創的で多彩な表情を持つ書作品はあまりない。書道になじみのない人でも絵のように楽しんでもらえるのでは」としている。
午前10時~午後6時。水曜と祝日の翌日は休館。一般520円、小中学生260円。問い合わせは同館(電話0266・22・5854)へ。
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