諏訪地域の考古学や歴史研究家などでつくる一般社団法人・大昔調査会は18日、人形浄瑠璃文楽「本朝廿四孝 奥庭狐火の段」の公演を諏訪市の諏訪湖畔で10月26日に行う計画を明らかにした。八重垣姫の恋物語という諏訪湖ゆかりの演目。「諏訪神仏プロジェクト」を機に地域での公演を始め、過去2年は岡谷市の照光寺で上演している。諏訪湖畔では初の試みで、実現を目指して7月からクラウドファンディング(CF)を始める。
川中島の合戦を描いた本朝廿四孝のうち、「奥庭狐火の段」は武田信玄の息子勝頼に恋した上杉謙信の娘、八重垣姫(架空人物)の物語で、人気が高い。八重垣姫が諏訪法性の兜を手に、諏訪大明神が遣わした狐に導かれて凍った諏訪湖を渡る場面が見どころだ。三味線と義太夫節に合わせて人形を操り、情感豊かに演じる。
18日、人形遣いの吉田勘彌さん(69)=兵庫県=が調査会の髙見俊樹理事長、同寺の宮坂宥憲さんらと諏訪市役所を訪れ、金子ゆかり市長に報告した。複合イベント「諏訪圏フォーラム」のプログラムの一つにする予定で、八重垣姫像がある石彫公園に舞台を設営。湖を背に上演し、伝統芸能に親しんでもらう。公演時間は未定。必要な許可は既に得ているという。
県文化振興事業団などの支援を受けるが、「無料で鑑賞できるようにしたい」としてCFを計画。過去2年の公演と今回の舞台を映像化し、諏訪湖の魅力や諏訪の歴史文化を地域内外に発信するとともに、DVDを学校に贈って子どもたちの郷土愛の醸成にもつなげる考えだ。
CFの詳細は7月1日に発表する。前日の10月25日に照光寺でCF支援者限定公演を行う計画で、返礼品の一つにする。湖畔公演翌日の27日に開かれる「諏訪湖マラソン」と文楽のコラボ企画も検討していくという。
髙見理事長は「念願だった諏訪湖、八重垣姫像前での公演。支援をいただき、ぜひ実現したい」。吉田さんは「テンションが上がる。大勢に来ていただき、文楽という芝居を観て知っていただき、歴史文化を感じてもらえたら」と願い、「雨降りだと演じることができない。天候に恵まれるよう諏訪大明神にお祈りしたい」と話した。
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