県福祉大学校(諏訪市)介護福祉学科の学生17人が、昔の経験や思い出を語り合う一種の心理療法「回想法」を取り入れた「回想カルタ」を手作り、20日に同校で開いた公開講座でお披露目した。昭和から平成に活躍したスターの似顔絵を描いた取り札と、愛称や代表曲などを題材にした読み札を製作。楽しみながら昔の記憶を呼び起こすことで脳の活性化につながるといい、認知症の当事者や家族が集う「認知症カフェ」のレクリエーションなどで活用していく。
かるたは介護の授業の一環で製作。学生たちはインターネットで昭和の歌手や俳優、アイドルの経歴を調べ、内容を考えた。演歌歌手の千昌夫や歌手の野口五郎、アイドルグループのキャンディーズ、音楽バンドでコントグループのザ・ドリフターズなど、札は全部で60種類。竹松伶眞さん(20)は「調べるうちに、昭和の歌手にも興味を持ち始めた」と話す。
公開講座には60~80代の地域住民約25人が参加。かるたを使い、学生たちと世代を超えて交流した。住民らは札が読まれるとすぐに反応し、似顔絵を見つけて素早く獲得。「この人は元々俳優だったんだよ」「昔好きだったな」などと懐かしいエピソードを語りながら楽しんだ。参加した市内の女性(85)は「特徴を捉えた似顔絵が素晴らしい。昔を思い出しながら楽しめた」と笑顔を見せていた。
講座ではこのほか、名古屋柳城女子短期大学の制野司さんが回想法の基礎知識について講話。「過去を語ることは受け入れる作業。人生そのものの承認にもつながる」と伝えた。
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