広島に続いて長崎への原爆投下、ソ連対日参戦、終戦。忘れてはならない日が続く。振り返れば戦争を身近に感じたのは明治や昭和初期に生まれ、戦争を体験した祖父母や両親からだった。改めて思うのは自分が存在する奇跡▼祖母からは、満州(現中国東北部)への移民の誘いを断った話を聞いた。苦しい生活の中で「行けば大地主になれる」と言われれば気持ちが傾くのも無理はない。断るように祖父を説得した祖母は、この話になると苦々しい表情をしたのが目に浮かぶ。もし行っていたら…▼本県は満州への移民数が全国最多。待ち受けていたのは惨劇だ。その事実を深く知ったのは30年前、木曽郡南木曽町の加藤きよゑさんとの出会いだった。1945年8月9日から始まったソ連の満州侵攻で開拓団は大混乱に陥り、加藤さんも幼子を連れて荒野を逃げ惑い、多くの仲間が犠牲になった▼戦後の早い時期から書き溜めていた膨大な体験記は、出版社が手弁当で協力し、「千山を越えて」の題名で本になった。「北満の阿修羅の荒野に友等逝き我れ死に残り木曽谷に住む」。あとがきの一首からは、戦争は終わっても、癒えることのない心の傷がうかがえる▼戦争体験者が減っていく中で、伝えていくのは戦後生まれの大きな役割だ。どの家庭にも戦争の記憶はある。その記憶をひもとくことから始めてみてはどうだろう。”戦後”であり続けるために。
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