戦争が終わって、79回目の夏が過ぎようとしている。本紙上伊那版で戦争遺構を紹介させていただいた。飛行兵の訓練が行われた旧陸軍伊那飛行場(伊那市)、秘密戦兵器を開発・研究した旧陸軍登戸研究所(宮田村、駒ケ根市など)、徴兵検査や軍服製造が行われ、戦後はGHQが滞在した旧上伊那図書館(伊那市)…。戦争という時代の波は東西のアルプスを乗り越えて伊那谷にも押し寄せた▼伊那飛行場や登戸研究所の存在は戦後、高校生の聞き取り調査で浮き彫りになった。地域の人々が立ち上がり、埋もれた史実を記録、保存する活動を続けている。10月には、駒ケ根市民俗資料館内に「登戸研究所平和資料館」が開設される▼盆休みに改めて亡き祖父の戦争体験を母に尋ねた。北安曇郡社村(現大町市)の貧しい農民であった祖父は30歳の時に海軍に招集され、終戦までの1年間、横須賀で甲板掃除や炊事に携わった▼祖父は生前、「貴様らの命は一銭五厘だ。代わりはいくらでもいる」と見下す上官の言葉が悔しかったと母に嘆き伝えた。戦時中の郵便料金になぞらえた表現で、人間の命は当時、それほど軽く扱われた▼戦後の祖父は農民として慎ましく生き、80年の人生を全うした。生まれるのが10年遅ければ戦闘に加わり、20年早ければ子どもを戦地に送り出したかもしれない。人の世は、はかない。戦争の残酷さを改めて考えさせられた。
購読残数: / 本
⻑野⽇報社からのお知らせ
フォトサービス
紙⾯に掲載された写真を有償で提供しています
諏訪湖マラソン…外部リンク
毎年10⽉開催の諏訪湖⼀周のハーフマラソン
第35回諏訪湖マラソン記録
⻑野⽇報の紙⾯PDFをご覧いただけます
⻑野⽇報ご購読
こちらから⻑野⽇報のご購読を申し込めます
⻑野⽇報就職研究会…外部リンク
「就職はふるさとへ」と考えている学⽣のみなさんへ
長野日報社 社員募集
2025年4月入社の社員を募集します
週間ランキング
諏訪の老舗そば店「萬盛庵」 79年の歴史に幕 まきを背負って山を駆ける「西駒んボッカ」 キッチンカー自慢の味 岡谷湖畔公園でフェス マツタケ犬「福ちゃん」 江沢さんとキノコ採り 伊那谷の地酒楽しんで 来月28日秋の呑みあるき 県「ツキノワグマ出没警報」5地域に発出 自園のリンゴでスイーツ 笠原果樹園がカフェ 茅野市宮川、金沢で猿被害増加 市が調査開始 子どもも使える3Dプリンター スワニーが開発 伊那谷の銘酒堪能 駒ケ根で21日「南信州バル」日付で探す