遅々として進まない原稿。パソコンを前に固まることがしばしばある。まさに、今もそう。ひとまずキーボードをたたいてみるが、書いては消しての繰り返し。3歩進んで2歩下がるどころか、そのまま3歩戻っている▼どうにも行き詰まった時、息抜きに開く一冊がある。その名も「〆切本」(左右社)。締め切りが迫る中、筆を止めてしまった作家の日記や手紙をまとめたものだ。谷崎潤一郎に太宰治、夏目漱石、横光利一…。名高い文士の苦悩が赤裸々につづられていて面白い▼漱石は朝から晩まで費やして一枚も埋まらないことがあるとこぼし、谷崎は遅筆が原因で貧乏だと愚痴る。昭和初期に「文学の神様」と称された横光は脱稿をせかす編集者を公然と批判。「書けないときに書かすと云ふことはその執筆者を殺すことだ」と開き直る▼近代文学の礎を築いた物書きの生みの苦しみが伝わる。原稿用紙をくしゃくしゃに丸める姿も目に浮かぶ。もちろん、地域紙の一記者が語るのもおこがましいのは百も承知。彼らはあふれる文才ゆえに思い悩み、こちらは時間に追われるまま乱文、駄文を繰り返す▼もっとも、文豪のお歴々だって早く書き上げたかったのが本音だろう。太宰は「遅筆は作家の恥辱である」と、原稿が進まない自分を厳しく戒めた。ニュースを扱う新聞記者ならばなおのこと。これ以上、パソコンの前でうなっている場合ではない。
購読残数: / 本
⻑野⽇報社からのお知らせ
フォトサービス
紙⾯に掲載された写真を有償で提供しています
諏訪湖マラソン…外部リンク
毎年10⽉開催の諏訪湖⼀周のハーフマラソン
第35回諏訪湖マラソン記録
⻑野⽇報の紙⾯PDFをご覧いただけます
⻑野⽇報ご購読
こちらから⻑野⽇報のご購読を申し込めます
⻑野⽇報就職研究会…外部リンク
「就職はふるさとへ」と考えている学⽣のみなさんへ
長野日報社 社員募集
2025年4月入社の社員を募集します
サッカー教室参加申し込み
※保育・幼稚園年少~小学校6年生
週間ランキング
高校生ら企業の商品開発 おかやPBL開始へ 諏訪の老舗そば店「萬盛庵」 79年の歴史に幕 「ちのの休日」多くの人出 駅周辺空き店舗活用 地域おこし協力隊を「おためし」 岡谷市が募集 伊那谷の地酒に酔う 伊那街道・秋の呑みあるき 秋の伊那谷を駆ける 信州駒ケ根ハーフマラソン 自転車トライアルの本格コース誕生 茅野 「呑みあるき」チケット完売 諏訪5蔵 「チョイソコ」順調な滑り出し 諏訪市が試験運行 「赤そばの里」オープン 箕輪町上古田区日付で探す