移動時間のお供はもっぱらカーラジオ。と言っても大抵は聞き流すだけだが、先日の話題は印象に残った。「整理整頓が苦手な人は、まず整理ができません。整理とは捨てることです」。なるほど。妙に納得させられた▼解体業の情報発信などを展開するあんしん解体業者認定協会(東京都)の調査によると、物を「捨てられる」人は全体の45%。「捨てられない」が多数派で、自身もその一人だ。「躊躇なく捨てられる」と答えた人は7・8%にとどまった。いかに整理が難しいか▼捨てられない理由で最も多かったのが、「いつか使うかもしれない」。思わずうなずく。「いつか」なんて来やしないのに。かと言って捨てた途端に必要になるなんてこともありがちだ。そんな経験が一度や二度あると、どうしたって手放すのをためらってしまう▼「もったいない」も理由の上位。その精神は間違いなく日本の美徳だが、そもそも物をためないことが無駄や損失を防ぐ近道だろう。15年ほど前から定着した「断捨離」という言葉。物欲を断ち、不要な物を捨て、物への執着から離れる。言うはやすく、行うは…▼机の上に積み重なった資料の山に手を伸ばす。一つ一つに目を通しながら思うのは、「これはいつか必要になるかもしれない」。われながら断捨離の境地にはほど遠いと実感する。きょうは「清掃の日」だそう。重い腰を上げるにはいい機会である。
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