壊れた玩具を修理してくれる「おもちゃの病院」の話題が時々紙面を飾る。先月は茅野市の「ちのおもちゃ病院」が再出発し、市内外からおもちゃを抱えた親子が訪れたという。昨年は伊那市でも「開院」している▼かつての素朴なおもちゃに比べて電子部品が多く使われる現代のおもちゃの修理は難しいことが多いだろう。玩具に限らず家電製品や自動車も電子部品だらけで、スマートフォンやパソコンともなれば、もう素人には手が出せないブラックボックスだ▼ところがApple社のウェブサイトに最近iPhone16のバッテリー交換の方法が掲載された。背面パネルを外して9ボルト乾電池の熱でバッテリーを固定している接着剤をはがすなど素人には複雑な方法とはいえ、公式に電気製品の分解手順が公開されるのは珍しい▼消費者には購入した製品を自分で分解して修理する権利がある―という考え方が欧米で強くなっていることを受けた施策のようだ。修理が廃棄物削減につながることも理由の一つだが、ブラックボックスに光を当て、自分の生活を支えている道具の中身を少しでも知っておくべきという思いもあるのではないだろうか▼日本おもちゃ病院協会のサイトには「家庭でできるおもちゃ診断」というコーナーがあり、「電池で動くおもちゃの故障の原因のほとんどが電池です」という。まず、裏ぶたを開けるところから始めてみたい。
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