スパイ映画で主人公が電球を割って床にまくシーンがある。踏んだときの音で侵入者の接近を察知するためだ。そんな防犯対策の必要性を感じる昨今。首都圏などで相次ぐ強盗事件である▼「うちは金持ちじゃないし、盗られるようなものはない」と思っていたら油断は禁物のようだ。最近の犯行は手当たり次第に見えるし、家人に暴行を加えて金の在りかを聞き出すという荒っぽい手口もうかがえる▼いわゆる「闇バイト」で集まったとみられる者たちの犯行とされる。SNSで高額報酬をうたって募集し「ホワイト案件」などと称して安心させる。巧みに個人情報を聞き出し、いざとなって拒否すれば「家族に危害を加える」などと脅し、抜け出せなくするのが常とう手段という▼指示役に言われるまま犯行に加担し、ときには殺人まで犯すことも。だが実行役は使い捨て。警察に捕まってもお構いなしで別の実行役があてがわれる。テレビのニュースに映し出される容疑者の多くは普通の若者に見える。なぜ怪しげな誘いに乗ってしまうのか▼犯罪に巻き込まれないためにはまず手口を知ることが重要だ。そこで大切になるのが家族のコミュニケーションという。日ごろから手口や対策について話し合ったり、離れて暮らしている場合には小まめに連絡を取り合ったりして注意を促す。若者ばかりでなく、高齢者の詐欺被害の防止にも通じることだろう。
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