2025年1月25日付

2025/01/25 07:59
八面観

就任初日から首をかしげたくなるような大統領令を乱発したトランプ氏。自国ファーストを訴え当選した”民意”が背景にあるとはいえ、超大国アメリカの政治はかくも単純なのかと驚いた。もう半分の民意などお構いなしだ▼トランプ氏の当選にSNSが大きくかかわった。自らに批判的な声を「フェイク」と退け、牙をむく。まさに映画「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」に描かれ、辣腕弁護士ロイ・コーンに諭された勝つためのルールを実践しているかのようだ。ルール2「非を絶対に認めるな」▼世界的なベストセラー「サピエンス全史」の著者で歴史家のユヴァル・ノア・ハラリ氏がNHKのインタビューに応じ「人類は歴史上最も高度な情報技術を手にしているが、理性的な会話を行う能力は失いつつある」と語っていた▼情報技術の進展は知見を広め、人々に恩恵をもたらす一方で偽情報も急速に広める。15世紀の中世ヨーロッパで生まれた活版印刷技術は学問、宗教を大衆に浸透させ、識字率を高めたが、「魔女」というレッテルを張られた人々が次々と迫害を受けたおぞましい行為も正義として拡散された▼第二の情報革命とされる現代にハラル氏は「自分の間違いを修正する能力」を持つ大切さを説く。SNSが政治、経済、倫理、そして選挙結果をも動かす時代を迎えた今、「自らの非を認める力」を養う必要性を感じる。

続きを読む

購読残数: / 本

この記事は登録会員限定です
この記事は有料購読者限定記事です。
別途お申し込みをお勧めします。