店先で野菜に手を伸ばそうとして価格にため息が出る。食卓に欠かせないものだけに近ごろの高値には懐も頭も痛い。売り手も小分けやカットなどの従来以上の手間をかけて買いやすさに知恵を絞る▼「だけどね」とJA信州諏訪の小平淳組合長は語気を強める。「物価高の影響は等しいのに野菜の値は30年も前と変わらない」。一時的に高値が付くこともあるが豊作なら買いたたかれる。こうも価格が激しく動く商品はそう多くない。農家収入の不安定さを思う▼ところで、冬場の店頭に多彩な野菜があふれるようになったのはいつの頃からだろうか。生産設備や物流、保存技術が発達し、いてつく時期にも夏野菜を口にできるが、かつての信州で冬の葉物は数少なく、食卓に上がったホウレンソウの鮮やかな緑が尊く思えた▼茅野市内の教会の真鍋道人長老が「信州の人は貯蔵の知恵が豊富ですね」と感心していた。野菜、山菜、果物、魚介・肉とあらゆる食材を塩蔵や乾燥などで保存する。葉茎、皮、殻まで大事な食材。保存加工でうまみと栄養も増す。厳しい環境が生きる力も育んだ▼夏の野菜は体を冷やし、冬の根菜は免疫を高め、体を温める―と自然の摂理に則する食材が健康を守ってくれる。先日、茅野での講演で料理研究家の土井善晴さんは「この辺りに今あるものをおわん一杯の汁物で。本来これで十分、人は生きられる」と語っていた。
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