2025年2月5日付

2025/02/05 08:00
八面観

まるで漫画『ドラえもん』の秘密道具「どこでもドア」を手に入れたような気分だった。伊那と木曽を結ぶ国道361号権兵衛トンネル開通時の感慨にふける。早いもので2006年2月4日の開通から19年が経つ。それまでの長い道のりを見ていただけに記念日のように心に刻まれている▼全長約4.5キロ、高速道路並みの規格。開通により従来の半分の45分に短縮された。あっという間の感覚で、初めて利用した時のわくわくした気持ちは忘れられない。一方で、もろい地質に悩まされる難工事だった。大変な苦労の末に手にした便利さである▼伊那北高校ダンス部が、今風の「伊那節」を制作したそうだ。権兵衛峠を行き交う馬子たちが口ずさんだ「与地の伊那節」を基にした。民謡は地域の生活に根差した「ご当地ソング」だが、歌う人も踊る人も少なくなっている。そこで若い人にも関心を持ってもらおうとの願いを込めたという▼小紙記事は「アップテンポにアレンジし、ビートを利かせた」と紹介。ゆったりとした民謡のイメージとエネルギッシュなダンスが頭の中でなかなか結び付かず、かえって興味が湧く。しかも伊那節をよく知る人ほど親しみを感じられるとか▼南信と中信。隣り合っていても交流は薄かった地域をトンネルはどう変えたのか。ダンスがさらなる交流のきっかけになればいい。次は「木曽節」に挑戦してみてはどうだろう。

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