どちらを選んでも、恨まれる。それを受け入れるのが自分の責任。人生の最後まで背負っていく―。悲壮な覚悟で住民と向き合い、村の将来を模索し続けた村長の姿が印象に残っている▼木曽郡山口村が岐阜県中津川市となり、13日で20年が経過した。木曽郡の南端。「平成の大合併」で、全国でも珍しい県境をまたぐ越県合併として注目された。信州か岐阜か。当時の田中康夫知事が土壇場で関係議案の提出を拒んだこともあり、論争や混乱は県内外に及んだ▼平成の大合併は、諏訪、上伊那では旧伊那市・旧高遠町・旧長谷村が合併したのみだが、全国では2093市町村が合併し588団体が誕生。1193市町村は存続を選んだ。13の県から、村が消えた▼当時の山口村長、加藤出さん(87)を訪ねると、変わらぬ穏やかな笑顔で迎えてくれた。最終的に住民の選択が実現し、行政規模の拡大で道路などの整備が進んだと合併を評価する一方、住民の声をくみ取る議員や行政職員の減少、小学校統廃合論議など、市の一部になったことによる課題を指摘した▼果たして、国が迫った行財政の効率化は住民の利益になったのか。あの苦しみを経て生み出されたものは何だったのか。そんなことを考えながら、久しぶりの馬籠宿を加藤さんと歩いた。石畳が敷かれた坂道の両側に連なる古い町並みや、藤村記念館。合併前と変わらない景色が、貴重に思えた。
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