2025年3月5日付

2025/03/05 08:00
八面観

トンネル、ひび割れだらけで怖い―。高速道路で車を運転していて、SNSで見かけた書き込みを思い出した。トンネルに入ると、天井や壁面のほぼ全体に及ぶ無数のひび割れ。モルタルを充填したのか、補修済みと思われる跡がより目立つ▼下水道管が破損し道路が陥没した埼玉県八潮市に続いて、同県所沢市でも道路が一時冠水した。こちらは水道管が破裂したという。ライフラインを担う国内の公共インフラは、集中して建設された高度経済成長期から半世紀以上が経ち、老朽化が要因と思われる事故が各地で顕在化してきた▼2012年に9人が犠牲になった中央道笹子トンネルの天井板崩落事故を受け、各地のトンネルから天井板が取り外され、緊急点検が行われた。公共インフラについて、国が新設から補修や長寿命化にかじを切ったきっかけといわれる▼インフラは更新だけでなく、激甚化する災害への対応も課題だ。ただ事故発生から1カ月が経過した八潮市や、依然として震災から立ち直っていない能登半島の現状を見ると、先行きに不安がよぎる。人材不足や技術継承の懸念は、建設業界に限らない▼自治体では、公共施設の統廃合や公的機能を集中させるコンパクトシティーの取り組みも進む。人口減少で人材や財源が制限される中、地域機能の維持、確保へどのくらい投資、負担していくのか。行政、住民ともに選択が求められそうだ。

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