2025年3月13日付

2025/03/13 08:00
八面観

制限時間内にできるだけ多くのチェックポイントを回る「ロゲイニング」の取材で紙の地形図を手にして、開放的な気持ちになった。最近は地図と言えばスマートフォンかカーナビの画面で見ることがほとんどで、広範囲を見渡すことのできる紙の地図を見るのはずいぶん久しぶりだ▼普段使っている電子の地図では行き先へ向かう道順ばかり見ていて視野が狭くなっていることがよく分かる。このような地形図を開くと、山や湖などの自然地形に挟まれるように人々の暮らしがあることが感じられる▼もっと知識があれば、河川の流路や山の形が都市や産業の発展にどう影響しているかなど歴史的な背景も見えてくるのだろう。取材したロゲイニングは街部を中心としたエリアで行われたので、個人成績トップの選手は「山の方にも行ってみたかった」と、やや物足りなそうに話していた▼範囲を広げて山間部にもチェックポイントを置かれると、すべてのポイントを獲得することは難しくなるので、ポイントの取捨選択に戦略が必要になってくるという。同じ地形図を眺めていても、何十回も競技に参加してきたというこのベテラン選手には一般人とは違うものが見えているのだろう▼周囲の自然に目が向くようになれば地形的特徴から、水害や地震時の液状化などの潜在的な災害リスクも気になってくる。たまにはスマホを置いて紙の地図を広げてみたい。

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