桜の花の便りが各地から届く季節を迎えた。4月になって1週間余り。今年も4分の1が過ぎ去った。時の流れの速さに驚くばかり。年を取るにつれてさらにスピードアップしていくかのようだ▼松尾芭蕉は「さまざまの事おもひ出す桜かな」と詠んだ。桜を眺めながら、20年ほど前の昔を懐かしんでいる意という。正岡子規は「いたつきに三年こもりて死にもせず又命ありて見る桜かな」としたため、病に命尽きることなく桜を見ることができた思いを表したという▼桜には時の移ろいを感じさせる何かがあるのだろうか。その半面で桜が開花することにほっとさせられる部分もある。毎年、多少の前後はあってもいつもと同じように花を咲かせてくれる。人の営みを横目に季節は巡り、変わりないことに安心感を覚える▼高遠城址公園の桜守だった稲辺謙次郎さんが生前、「桜は季節ごとの姿を見せてくれます。花の頃だけでなく、一年を通して楽しめるんです」と語ってくれた。花が散って葉桜になり、新緑に覆われる季節。紅葉の秋。雪景色の冬。桜に深い愛情を注いだ人柄がしのばれる▼最近、肯定的な評価をされたいという「承認欲求」なる言葉を耳にする。でもそれには桜のように、花が散って再び開花するまでの、人から注目されない時こそが重要なのではないだろうか。それは人を引き付ける花を開かせるための価値ある準備期間なのだから。
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