2025年5月7日付

2025/05/07 08:00
八面観

ベンチに腰掛け、ぼんやりと周囲を眺める中高年男性。家族連れで混雑する大型連休中のテーマパーク内で、その一角だけが疲労感に満ちている。子どもや孫の付き添いか。表情からは「好きで来たんじゃない」という本音が読み取れる▼この連休中、家族を連れて山梨県内のテーマパークを訪れた。混雑は覚悟の上。前述の男性と同世代ながら、絶叫マシン好きの性分にも助けられ、長い待ち時間にくじけることなく楽しい時間を過ごすことができた▼まだまだ若い。根拠のない自信でいくつものアトラクションをはしごしてみたが、体はうそをつかない。翌日の倦怠感に自分の年齢を再認識させられた。一部の絶叫マシンはあと1年ほどで制限年齢の上限に達する。この高揚感を味わえなくなるのは寂しい限りだ▼「シニアのための遊園地開園プロジェクト」。インターネット上で65歳以上を対象とした遊園地の開園計画に関するページを目にした。4月1日に企業が夢を発信する「April Dream」プロジェクトの一環として、老人ホームを運営する東京都内の企業が公開しているものだ▼高齢者目線を取り入れ、安全性に配慮しながらスリルや爽快感を得られるアトラクションの提供を目指すという。国民の3人に1人が65歳以上となる時代。絵空事と揶揄されようとも、シニア世代を置き去りにしない新たな発想や挑戦を大切にしていきたい。

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