2025年5月8日付

2025/05/08 08:00
八面観

日本だけではなかった。あばら骨や骨盤の形が浮き出るほど細身の女性がそのスタイルを強調する。短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で「痩せすぎ」を推奨する動画が拡散し、10代の少女を重大な危険から守れていないと、ベルギー政府が警鐘を鳴らした▼動画は減量法を宣伝し、摂食障害を助長していると非難している。ベルギーの10~64才の女性の15%が、摂食障害の疑いがあるという▼日本でも2023年の調査で女性の12%、とりわけ20~30代の女性は20.2%が「痩せている」と、厚労省が発表した。20代女性の摂取エネルギーは約1600キロカロリー。食糧難だった戦後の時代より少ないとの報道もあった▼痩せている人ほど痩せる願望が強く、もはや精神疾患との指摘も。若い女性の痩せすぎは、月経不順や骨密度の低下、免疫機能低下などの要因となり、早産や低出生体重児など、次世代にも影響を及ぼすとされる。痩せていることと「きれい」「かわいい」は切り離せないのか▼新体操の指導で伊那西高を高校総体上位常連校に導いた橋爪みすずさんは、生徒の健康を害していたと、厳しい練習と減量を強いたかつての自分を悔やむ。スポーツ栄養学を学び体脂肪率の適正化に取り組んだところ、無月経を防ぎ、成績向上にもつながった。自己評価への関心が高いとされる若者にも「健康美」の認識が正しく広まってほしい。

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