文化センター改修 諏訪市側理解求め対話継続
諏訪市の金子ゆかり市長は28日の市議会全員協議会で、文化センター大規模改修事業を巡り、市民や議会に対する説明不足があったとして陳謝した。市側は対話を継続し、事業費が増大した場合は再検討する方針を示したほか、JR上諏訪駅周辺の一体的整備の事業費を「115億円」と仮設定し、3事業に伴う財政指標の見通しから事業の実現性を説明した。文化センターの基本設計委託料が削除された市議会6月定例会以降、議員や市民から出た意見に対応し、情報を開示した格好だ。
金子市長は「保存活用や改修のPRに努めてきたが、市民に十分に理解いただく努力が不足していた。行き届かない点を反省している」と述べた。文化センターの現状や改修の概要、財源や財政指標に及ぼす影響など「現時点で可能な限りの説明を尽くしたい」とし、8月2日の市議会臨時会に触れて「国の補助の内示をいただいており、タイムリミットのこの日に、ぜひともご承認をいただきたい」と語った。
全協では、30日に開く市民向け説明会の資料が公開された。概算28億円だった文化センターの改修事業費は、国土交通省の計算式から1・2倍の約33億6000万円と想定した。基本設計で事業費の大幅増や補助金の見通しが立たない場合、事業の再検討を行う。議員や市民への説明を継続し、防災や文化芸術活動の拠点を整備するとした。
上諏訪駅周辺の一体的整備については、他自治体の類似事業を参考に事業費を115億円と仮設定。内訳は文化センター35億円、駅西口広場と諏訪湖イベントひろば合わせて80億円(うち公社用地取得費30・5億円)とし、財源は国庫補助36億円、地方債61億円、一般財源18億円を見込んだ。財政指標はピーク時に実質公債費比率が2038年に11・3%、将来負担比率が33年に83・9%になるが、早期健全化基準は下回るという。
議員からは、南部地区の小中一貫校建設など3事業以外の大型事業を含めた財政への影響や、文化センターの防災機能強化に必要な経費、維持費、長寿命化の見通しを訪ねる意見が出た。市側は長寿命化は「20~30年」とし、防災機能の強化は事業費の「プラス要素となる」とした。
市は委託料などを計上した今年度一般会計補正予算案を市議会臨時会に再提出する構え。6月定例会では委託料を削除する修正案が賛成8、反対6で可決されている。修正案の提出を主導した会派「市民第一」(4人)の動向が注目される。